弁護士コラム
第12回
「退職代行と損害賠償請求」について
公開日:2024年8月5日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から、「これは」と思うことをコラムにします。
さて、コラム第12回は、「退職代行と損害賠償請求」について書きたいと思います。
損害賠償請求が心配な方には興味のある記事だと思います。
5分程度で読めますので、お付き合いください。
目次
退職代行と損害賠償請求についてコラム記事にしました。
最近、退職代行を受けた会社が退職者を損害賠償請求で訴えるケースが増えています。
1.訴訟されるケース及びそれに対する対応策
訴えるケース
1 無断欠勤に対して訴えるケース
2 引き継ぎしないケース
3 退職したことに対するケース
1. 無断欠勤に対して訴えるケース
就業規則上、正当な理由のない欠勤として無断欠勤をあげています。
無断欠勤によって、売上が下がったので、下がったことが損害とするケースがあります。
では、こちらはどのように考えたら良いでしょうか?
まず、正当な欠勤にすれば、訴訟を回避できると考えます。
正当な欠勤とは、有給がある場合、代休がある場合、体調不良がある場合などが該当します。
改めて退職代行する前に、有給があるか、代休があるか、体調不良の理由があるか事前にチェックをしてください。
2 引き継ぎしないケースに対して訴えるケース
雇用契約上の内在する義務として、引き継ぎ義務があります。
感覚的には、会社としては、突然の退職で困るでしょうということです。
引き継ぎのパターンには、
①出勤して、次の担当者に引き継ぎする
②書面化して書面を渡す
のどちらになります。
退職代行の場合には、出勤しないことがほとんどですので、②書面化するのがほとんどです。
退職する事前にご自身が担当している業務を最低限で構いませんので、まとめてみましょう。思ったより引き継ぎ事項が少ないかもしれません。
もっとも、体調不良で引き継ぎ書を作ることも難しい場合もあります。心配な場合は、担当の弁護士にご相談ください。
3 退職したことに対するケースに対して訴えるケース
訴訟する法的根拠がないと考えますので、それほど心配することもないと思います。
2.まとめ
入社から日が浅い退職者の方は、1 無断欠勤に対するケースについて気をつけてください。
引き継ぎ事項がある退職者は、2 引き継ぎが不十分であるケースについて気をつけてください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。