弁護士コラム

第19回

業務委託の退職代行について

公開日:2024年8月21日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から、「これは」と思うことをコラムにします。
毎週1コラムは更新していきます。

さて、コラム第19回は、「業務委託の退職代行」について書きたいと思います。

弁護士法人川越みずほ法律会計の「業務委託の退職代行」は総額33,000円になります。
追加費用はありません。
ご質問等ございましたら、私まで遠慮なく頂けると幸いでございます。

目次

1.まとめ

業務委託の退職代行をするにあたっては、即日退職(即日解除)の主張をする必要はありません。しかしながら、稼働することを拒否する方法が一番であります。ご質問がありましたら、私まで遠慮なくご相談ください。

ここから本題です。

政府も業務委託を推進していることで、雇用ではなく業務委託として働く人が増えています。

業種としては、軽貨物運送業務、開発業務、経理業務、キャバクラ、ホステス、ホスト、エステシャン、整骨院などにお勤めの方からのご依頼及びご相談が多いです。

2.業務委託の法的性質

業務委託は、法律上は、その職種に応じて準委任契約なのか、請負かのどちらか、または、その両方になります。通常は、法律業務ではないので、委任ではなく準委任契約であることが多いです。

準委任契約の場合には、原則としていつでも契約の解除ができますが、相手の不利な時期に解除した場合には、損害賠償を負うことになります。
すなわち、契約書で特約を結ぶなどして、例えば、2ヶ月前に退職(解除)の申告となっていなければ、いつでも退職(解除)ができます。

民法651条

(委任の解除)
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

民法656条

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

3.業務委託の退職(解除)時期

次に、特約で2ヶ月前の退職(解除)の申し出となっている場合には、特約と民法651条とのどちらが優先されるかという話になります。
どちらが優先されるかについては別の機会に述べるとしても、2ヶ月前の特約があるため、やはりその特約の2ヶ月前申告には一定程度、効力があると考えます。

しかしながら、業務委託には少なくとも、仕事を受ける自由があることから、2ヶ月間の仕事を断りつつ、退職(解除)にもって行くことが穏当だと考えます。

ここでまとめますと、業務委託の場合には、あえて即日退職(即日解除)の主張はしないで、仕事を拒否することが一番だと考えます。

ちなみに、業務委託は仕事を選ぶ自由があることから、退職(解除)ができない場合でも他から新しい仕事を契約することも制限できません。
したがって、あえて即日退職(即日解除)をする必要はありません。

4.業務委託の退職(解除)と損害賠償

最後に、業務委託の場合には、雇用と違い損害賠償請求を受ける可能性は高くなります。
しかしながら、何をもって義務違反があったか否かについては、相手方が立証責任を負うものであって、損害の内容を詳しく検討すると相手方の損害賠償請求には根拠のないものが多いです。
業務委託解除にあたって損害賠償請求についてご心配な方は担当弁護士までご相談ください。

5.業務委託の偽装委託

また、昔からの議論で業務委託が偽装委託ではないのかということがよく言われます。
すなわち、実質的に考えて雇用契約であるにもかかわらず、労働基準法、労働契約法を脱法するという不当な目的をもってあえて業務委託にしているという議論があります。
雇用か業務委託か否かについては、大きく分けて
①退職(解除)の時期
②損害賠償の可能性
の①②から、業務委託ではなく雇用契約を主張する実益があると考える議論です。
上記の私のコラムを読んでいただければあえて偽装の委託か雇用契約であるかの主張をする必要性はありません。
むしろ業務委託の方が雇用契約よりも退職(解除)しやすいとさえ言えます。
よりわかりやすく言えば、業務委託の退職代行をすることだけに言えば偽装委託または雇用契約であるかの議論は不要な議論です。

繰り返しますが、
弁護士法人川越みずほ法律会計の「業務委託の退職代行」は総額33,000円になります。追加費用はございません。

ご質問等ございましたら、私まで遠慮なく頂けると幸いでございます。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。