
弁護士コラム
第82回
『退職勧奨と退職代行』について
公開日:2025年2月26日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第82回は『退職勧奨と退職代行』についてコラムにします。

目次
1.退職勧奨について
退職勧奨とは会社が「辞めてもらえませんか」と言ってきた場合があたります。「辞めてください」と言ってきた場合には、解雇にあたりますので「辞めてくれませんか」と「辞めてください」という些細な言葉の違いでも、法律的な話では、大きな違いがあります。
まず退職勧奨については、勧奨に応じて、退職の意思を表示することについて、やめる側の意思が残されている点で、解雇と違い慰謝料が低くなります。
具体的には、退職勧奨による退職の場合には、最大で、給料の1ヶ月相当の慰謝料しか発生せず、退職勧奨の慰謝料は、解雇の3ヶ月から6ヶ月の慰謝料と比べても低いものと言えます。
2.会社都合退職について
退職勧奨にあたる場合には、会社都合退職になりますかというご質問を多くもらいますが、話はそんなに単純ではありません。会社が退職勧奨した場合でも、離職票の退職区分を「自己都合退職」にしてくる会社がほとんどです。
そして、退職区分を自己都合退職の場合に、ハローワークに対して異議申立したとしても、会社都合退職に変更になるケースはほとんどありません。仮に、退職勧奨された際の会話の録音をしていたケースでも、ハローワークでは、会社が認めない限り会社都合退職に変更になることはありません。
その理由としては、ハローワークの審査能力にあります。ハローワークはあくまでも実質的な審査をすることはなく、形式的な審査をするのみになります。仮に、退職勧奨した際の録音を提出したとしても、ハローワークの見解で退職区分を会社都合退職に変更することはありません。
したがって、退職勧奨されたケースで、離職票の退職区分を自己都合退職にされてしまったケースでも異議申立の制度は、具体的な解決手段にはなり得ません。
そこで、会社都合退職に変更するには、裁判所を通じて行う必要があります。しなしながら、現実問題として、裁判所を通じて行う場合には、時間も費用もかかります。
4.まとめ
会社都合退職が簡単に認められない理由を簡単に紹介しました。この結論は、パワハラが会社都合退職にあたるか否かとパラレルに考えることができます。
現状、退職勧奨してきたケースでも、必ずしも会社都合退職になるかと言えば難しいケースもあります。退職代行する立場としては、何とも歯切れが悪いケースになる場合もあります。
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弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。