弁護士コラム

第109回

『教職員【公務員】の退職代行がおすすめな理由』について

公開日:2025年4月24日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第109回は『教職員【公務員】の退職代行がおすすめな理由』についてコラムにします。

目次

1.教職員の退職代行について

退職代行をはじめた当初から教職員の方からの退職代行の依頼を受けるケースは多くありました。

教職員といえば、小学校、中学校、高校の先生を指していますが、今回のコラムは中でも、市立などの公立学校、県立高校などの地方公務員について中心的に解説し、私立学校の先生の退職代行については最後に少しだけ解説していきます。

教職員の退職代行の際の学校側の窓口は、各地方公共団体に設置されている教育委員会ではなく、学校長が行っています。したがって、弁護士が教職員の退職代行を行う際には、学校長宛に、受任通知書を送ることになります。

※例外的に懲戒処分待ちの場合には、各地方公共団体に設置されている教育委員会宛にも受任通知書を送るケースもあります。

教職員の先生の採用区分として、正規職員と臨時採用等の職員に分かれていますが、退職代行の依頼としては、半分半分になります。

教職員の場合には、今の職場を退職代行して他県などで教職員として採用試験を新たに受ける方もおりますので、退職代行しても、あまり採用には関係ないと考えておりますので、その点につきましては、心配する必要はないかと思っています。

2.退職日について

次に、教職員の退職代行の際には、14日前に退職の意思表示をすることをオススメしています。

仮に、1日に私の方が退職代行した際には、退職日を16日以降にするケースがほとんどです。この14日間は最低の期間と言えますので、年次休暇があれば、全て消化して退職することも可能です。

例えば、年次休暇が20日あった場合には、土日祝日の公休日以外の出勤日に年次休暇をあてますので、約1ヶ月後が退職日になります。

その一方で、退職通知したその日を退職日とする即日退職はほとんど認められません。私が行った教職員の退職代行は、退職までに最低3日はかかっています。この3日間は、臨時等採用でも、正規職員でも変わりはありません。

どちらの採用区分でも退職代行から退職まで3日はかかります。仮に、年次休暇を消化して年次休暇がない場合には、欠勤になりますが、その欠勤によって、懲戒処分の対象になったケースは今までにありません。

仮に、14日退職までかかったケースで、退職までのほとんどの出勤日を欠勤にしても懲戒処分待ちになっていませんので、お悩みでしたら、遠慮なく私までご相談ください。

3.引き継ぎについて

教職員の退職代行時には、引き継ぎが必要な場合があります。例えば、成績通知表をつけるケースなどがあり、各生徒の成績については、書面化して学校側に渡すケースがあります。

また、各生徒の成績通知表を郵送で自宅まで送ってもらい、記入後、学校に郵送で送り返す場合があります。引き継ぎでお悩みでしたら色々なケースを経験しているので、遠慮なくご相談ください。

4.病気休暇や休職について

教職員の退職代行の内、病気休暇中や休職中の先生から、職場復帰は難しいため、職場とやりとりしたくないので、私に退職代行を依頼するケースがかなりの割合であります。

教職員が病気休暇や休職に入る理由としては、職場でのストレスによることがほとんどと聞いています。また、職場の上司からパワハラを受けているケースもあります。


精神的に限界でしたら、私まで遠慮なくご相談ください。

また、病気休暇や休職が取得し辛い場合には、コラム第104回『教職員の休職代行(病気休暇代行)』について、をご参照ください。
合わせて読むことで、理解が進むと思います。

さらに、懲戒処分待ちの状態となり、退職が承認されず長期間、退職できないために、懲戒処分を早める交渉も受けつつ、退職代行するケースも増えています。

5.まとめ

最後になりますが、簡単に私立学校に勤務されている方の退職代行についても解説します。私立学校は、民間企業と異ならないため、期間の定めのない雇用契約の場合には、民法第627条第1項が適用されますので、退職代行時から14日間経過後をもって退職となります。

さらに、期間の定めのある雇用契約で「やむを得ない理由」がある場合には、退職代行したその日を退職日とする即日退職が可能となります。

・参考条文

民法第627条第1項

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法第628条

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

・関連コラム

第104回『教職員の休職代行(病気休暇代行)』について

第105回『市町村役場職員の退職代行は利用できる?』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。