弁護士コラム

第21回

「自衛官の懲戒処分待ちの退職代行」その2について

公開日:2024年9月4日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から、「これは」と思うことをコラムにします。
毎週1コラムは更新していきます。

令和6年夏は、自衛官の方からの退職のご相談が多かったです。その中でも、特に「懲戒処分」を「待っている」現状での退職についてもご相談が目立ちました。
そこで、先週のコラムに続いて第21回は、「自衛官の懲戒処分待ちの退職代行」その2についてコラムにします。
今回は、学術的な表現が多いため、最初の方は読み飛ばして頂きまして、後半部分を重点的に読んでください。

目次

1.まとめ

懲戒処分待ちの方でも諦めずに弁護士の退職代行にご相談ください。退職を早めるように交渉します。

では、内容に入ります。

2.懲戒処分待ちの場合に退職を承認しない法的根拠について

懲戒処分の調査中や調書にサインしていない段階や、調査が終了した後も、処分が出るまでの間は、「自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき」にあたり、退職が承認されません(自衛隊法第40条)。

また、同様の規定は、国家公務員法第77条によれば、職員の辞職に関する規定は、
この法律及び人事院規則でこれを定めるとし、人事院規則8-12(平成21年人事院規則八一一二)第51条において、
「特に支障の無い限りは辞職を認める」こととされいます。

自衛隊法第40条の「自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき」は、
人事院規則8-12の「特に支障のない限り」と同様であって
逐条国家公務員法〈全訂版〉(学陽書房発行、平成29年10月17日全訂版第2刷発行)によると、
「公務の秩序維持上懲戒処分に付す必要がある場合」と言います。

国家公務員法第77条(離職)
職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。

人事院規則8-12(職員の任免)
第51条 任命権は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。

なお、辞職願及びその撤回は、身分の得喪に関わる公法上の意思表示であるため、自ら直接行うことを要し、使者を介することは許されるが、代理人による意思表示は許されないとされいます(昭和39年6月22日 奈良地裁)。

3.懲戒処分待ちの退職代行について

話を戻しまして、自衛官が懲戒処分の対象になる隊律違反(服務義務違反)をした場合には、自衛隊法及び人事院規則8-12によれば、軽い処分から重い処分等の様々な処分があるにもかかわらず、処分されるまでは、一切、退職ができなくなります。

中には、処分が出るまで2年もの間、処分が出ないために、退職ができない方もいます。

処分には、軽い処分から重い処分など様々ですが、退職代行している私の経験や自衛官の方から聞く声からは、軽い処分になればなるほど、処分待ちの時間がかかり、退職まで時間がかかっているようです(処分の種類については、最後の表をご参照ください)。

しかしながら、私の方で退職代行することで、処分宣告から処分の言い渡しまでの期間を短縮させ、いち早く退職になるように交渉をしますので、遠慮なく私までご相談ください。

また、処分の言い渡しの翌日が退職日になることがほとんどですので、退職代行と言っても、懲戒処分待ちの退職代行の場合には、処分を早める交渉が主な交渉内容になります。

退職までの期間については、個々の事案で異なりますので、遠慮なく私までご相談ください。
全力でサポートします。

過去のケースでは、
賭博したケースでの懲戒処分待ちを早めて退職させたケース

パワハラをした嫌疑があるケースでの懲戒処分待ちを早めたケース

上司に対して暴力を振るってしまったことで懲戒処分待ちとなってしまったケースについて退職を早めるなど、

数多くの自衛官の懲戒処分待ちを早めて退職にもっていった数多くの経験があります。
遠慮なくご相談下さい。

4.懲戒処分の指針(人事院事務総長発)(平成12年3月31日職職ー68)

今回、参考までに、人事院が公表している懲戒処分の指針について掲載します。
お時間がある際には、ご確認ください。

懲戒処分一覧

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。