弁護士コラム

第15回

『退職代行と給料未払い』について

公開日:2024年10月18日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から、「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第15回は、『退職代行と給料未払い』について書きたいと思います。

このコラムの給料未払いとは、毎月、通常支払うべき給与のことを指します。よって、未払い残業代は含まれません。
退職代行をはじめて数年が経ちました。はじめた当初はそれほどでもなかった給料未払いですが、最近では、退職時に給料を未払いにする会社が増えています。5分程度で読める内容となっております。最後までご拝読頂けると幸いでございます。

目次

1.給料未払いの相談ケース

例えば、末締めの翌日25日払いの場合には、その月の10日を退職日とした場合には、その月の25日払いと翌月の25日払いの2回の給料支給日があります。どうせ退職しているので、会社としては、給料を支払う必要はないと考えるのです。給料未払いが発生する際の会社の言い訳としては「普段は振込だけど、最終給料は、現金支給になっている」「損害賠償請求権があるのでその債権(債務)と相殺」「その他反対債務をもっている」「支給する約束はしていない」などがあります。

「普段は振込だけど、最終給料は、現金支給になっている」
こちらの言い訳は一番多いです。

しかしながら、まず、普段は振込であった場合には、労働契約法上、契約内容となっているので、振込自体は、労働条件となっていると言えます。その労働条件を合意なく一方的に不利益に変更するのは、不利益変更禁止にあたると言えます。

よって、現金支給自体が無効であり、最終給料は振込みにすべきだと考えます。

労働契約法第8条

(労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

「損害賠償請求権があるのでその債権(債務)と相殺」
こちらの言い訳は、2番目に多いです。

労働基準法には、賃金全額払いの原則があるので、相殺は禁止ですし、支払いをしないこと自体が賃金全額払いの原則に違反します。

労働基準法第24条

(賃金全額払いの原則)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

2.給料未払いに対する回収手段

給料が未払いになった際に取れる手段
①内容証明郵便などを使い会社に催促の書面を送る
②労働基準監督署に申告する。
③労働審判の申立てを行う。

弁護士が介入した場合には、まず、①内容証明郵便などを使い会社に催促を入れます。この段階で支払ってくれるケースも多いです。

②内容証明郵便などを使う際には、7日以内に支払いをしない場合には、労働基準監督署に申告するケースが多いです。しかしながら、現段階では、なかなか申告をしたとしても支払ってもらえないケースもあります。

そこで、③労働審判を申し立てる方法です。労働審判を申し立てるのは、会社の所轄の裁判所になります。原則として、3回で解決する制度で、双方の言い分を聞いて、裁判所が一定の解決案を提示し、和解にもっていくことで解決を図ることが多いです。申立てをした日から原則として40日以内の日にちが第1回目の期日となるように制度設計されていますが、最近では、期日がなかなか入らないこともあります。

弁護士法人川越みずほ法律会計では、①②③の順番で未払い給料について解決をして行きます。
弁護士費用については、①②の段階では、回収額の22%を回収した額の中から成功報酬として頂きます。その他郵便代等の費用がかかります。③労働審判の制度を使った場合には、回収額の33%を回収した額から成功報酬として頂きます。その他労働審判の場合には、日当22000円、交通費、郵送代等その他の費用がかかります。

給料未払いが発生した際には、すべてケースでお受けできる訳ではありませんが、まずはご相談ください。

3.まとめ

1 給料未払いにするケースが増えている
2 手段として、①内容証明郵便などを使い催促する。②労働基準監督署に申告する。③労働審判を申し立てる。
3 すべてのご依頼をお受けする訳ではありませんので、まずはご相談ください。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。