弁護士コラム
第33回
『自衛官(自衛隊員)の退職代行【階級3曹】』について
公開日:2024年10月22日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から、「これは」と思うことをコラムにします。
さて、コラム第33回は、『自衛官(自衛隊員)の退職代行【階級3曹】』について書きたいと思います。
陸士長、1等陸士、2等陸士の自衛官については、コラム第26回を参考にしてください。話を戻しまして、毎年9月、10月、11月は、各部隊とも演習が多くなりますので、退職承認まで時間がかかったり、他の時期より退職の相談も少なくなります。今回は、自衛隊の退職代行で、一番相談が多い3曹の自衛官のコラムを書きます。3曹の方にとっては興味深いコラムだと思います。
5分程度で読めますので、お付き合いください。
目次
1.3曹について
2士から将まで16階級に分かれた陸上・海上・航空各自衛官の階級。このうち3曹から曹長までの4階級を曹といいます。曹の役割については、従来から、小部隊のリーダー及び専門分野に精通した技能を有するものであるとともに、士を直接指導し、幹部を補佐する部隊の基幹要員として位置付けられています。その資質・能力は部隊の精強性等に大きな影響を与えます。
さらに、任務の多様化、装備の高度化に伴い、より高い専門性が要求されることから、曹としての任務遂行に必要とされる高い能力が求められています。約23万人の自衛官は、階級順に「幹部」(19%)、「曹」(60%)、「士」(19%)などで構成されています。今回は、その60%を占める曹の中で、特に3曹について焦点をあてます。また、3曹の方は、結婚など特別な事情がなければ営内にお住まいの方が多いのも特徴があります。
2.退職期間について
実は、自衛隊の退職代行は、3曹の方が一番多いです。
おそらくご自身で退職の交渉をしても退職の申し出から退職日まで、少なくとも半年から1年程度はかかのるのが理由だと思います。私の方で退職代行した場合には、「概ね45日」で退職にもって行くことができます。45日は、公休日を含みます。また、(所属部隊と交渉が必要ですが)45日は、希望により代休休暇と年次休暇をあてるので、出勤の必要はありません。なお、交渉によって、「45日より前」に退職するケースも多いので、「45日より前」に退職を希望の場合には、私まで遠慮なく相談ください。
3.外出許可中の退職代行について
次に、営内のお住まいの方がほとんどですので、外出中に退職代行するケースがほとんどです。外出許可中に退職代行後には営内に帰ることはほぼありません。現在のところ、営内にお住まいのまま退職代行を使った場合には、上官から弁護士との委任契約を解除するように圧力を受けるケースも多く、さらには、その場で、解除の電話を弁護士にかけさせる場合もあるので、外出許可中に退職代行することをお勧めしています。また、脱柵になったケースも今までのところ一度もありません。
なお、所属部隊から退職代行によって退職した場合には、懲戒免職対象、すなわち、処分待ちになるので、退職が伸びる可能性や退職金が出ないなどと脅されているケースも依頼者から聞かされますが、弁護士の退職代行であれば、ご自身で退職した場合と一緒で「依願退職」と言う形になりますので、ご安心ください。
精神的に限界でありましたら、当職の退職代行を検討ください。きっと楽になると思います。お気軽にお問合せください。
4.処分待ちについて
3曹の方で懲戒処分待ちになっているケースについての相談も多いので補足します。懲戒処分待ちの場合には、一般的には、調査開始から処分宣告まで1年から2年程度の期間が必要となります。処分内容については、軽い処分から重い処分まで様々な処分がありますが、一般的に、軽い処分の方が処分まで長くなる傾向にあります。実務上、懲戒処分の審議については、全国各部隊の処分を一箇所で審議していますので、自然と処分宣告まで時間がかかっています。
私の方で退職代行を受任した際には、合わせて、処分宣告を早める交渉をします。今までのケースでは、隊員同士の暴行(ケンカ)に対する処分待ちで、4ヶ月から6ヶ月程度、交通違反(赤切符事案)に対する処分待ちで、3ヶ月から5ヶ月程度で退職にもっていっています。処分待ちの場合の退職日は、処分宣告(処分日)の当日または翌日になります。3曹の自衛官の方で処分待ちの方は、遠慮なく私まで相談ください。力になります。
5.まとめ
① 3曹の自衛官の方が退職代行をご依頼するケースが多いです。
② 外出中に退職代行した場合には、ほぼ営内に戻ることはありません。
③ 退職まで45日必要です。ただし、交渉で45日より前に退職日を設定するケースも多いです。
※病気休暇取得の場合には、事前にご相談ください。
④ 現在のところ脱柵にはなったケースは今までにありません。
⑤ 3曹の方でも、陸士長、1等陸士、2等陸士の退職代行第26回も参考になりますので、お時間がありましたら、読んでください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。