弁護士コラム
第38回
『地方公務員(県立病院、市立病院勤務の看護師、事務職員)の退職代行』について
公開日:2024年11月6日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第38回は『地方公務員(県立病院、市立病院勤務の看護師、事務職員)の退職代行』についてコラムにします。地方公務員の職種は様々ですので、数回に渡って広く浅くコラムにします。5分程度で読める内容にしていますので、最後までお付き合いください。
目次
1.退職の申し出時期について
令和6年11月6日現在のところ、県立病院や市立病院に勤務されている看護師や事務職員は、地方公務員にあたるため、公務員の退職代行として執筆しています。県立病院や市立病院に勤務されている看護師や事務職員の方からの退職代行の依頼や相談は増加傾向にあります。その中で「何日前に退職の申し出をすれば、退職できますか」というご質問が多いです。
地方公務員の退職の申し出の時期については、各地方自治体の条例、規則で定められているケースが多いですが、県立病院や市立病院にお勤めの方については、条例や規則で定められていません。したがって、退職の申し出をした日を退職日とする「即日退職」も可能となります。
また、仮に、退職代行の際に、欠勤しても懲戒対象になったこともありませんので、おそらく10日間程度は、欠勤しても問題ないと考えています。県立病院や市立病院の看護師や事務職員に対して懲戒にあたるかの判断については、慣例的に他の地方公務員に比べて緩い傾向にあります。
2.退職日の指定が可能
その一方で、年次休暇がある場合には退職代行の際に、年次休暇消化の通知をしても拒否されたことは一度もないため、年次休暇消化をしつつ、退職日を弁護士側から「一方的」に「指定」することが可能となります。 例えば、賞与(ボーナス)時期は、毎年6月1日と12月1日に在籍している看護師、事務職員に対して支給されるため、退職日を「12月1日以降や6月1日以降に」指定して賞与をもらうように手続きします。 逆に、次の就職時期の兼ね合いや職場と縁を切りたい場合には、退職代行したその日を退職日とする「即日退職」も可能となります。
3.育児休業中の退職代行
次に、育児休業中の方からの退職相談を受けることも多くあります。地方公務員の育児休業等に関する法律第1条によれば「職員」の「継続的な勤務を促進」することを目的としておりますので、退職を申し出た日以降については「継続的な勤務」の辞退をしたと言えるため、退職を申し出た(退職代行)その日以降は、「育児休業手当金」は「支給」されません。したがって、育児休暇を取得中の看護師、事務職員の方については、退職代行の時期も重要になりますので「事前」に私までご相談ください。
4.まとめ
今回、地方公務員(県立病院、市立病院勤務の看護師、事務職員)の退職代行についてご説明させていただきました。
退職理由については様々ですが、職種上、休職中の方、育児休業中の方、精神的に疲労している方からのご依頼が多いです。退職日の設定等、柔軟に対応できるのは弁護士の退職代行のメリットですので、お悩みの方は遠慮なくご相談ください。
参考コラム
第7回のコラム『都道府県立病院職員の退職代行』を参照して頂ければ、より理解がすすめますので、お時間ありましたら読んでみてください。
参考条文
地方公務員の育児休業等に関する法律
(目的)
第1条
この法律は、育児休業等に関する制度を設けて子を養育する職員の継続的な勤務を促進し、もって職員の福祉を増進するとともに、
地方公共団体の行政の円滑な運営に資することを目的とする。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。