弁護士コラム

第37回

『地方公務員(市役所、区役所、県庁、都庁職員)の退職代行

公開日:2024年11月5日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第37回は『地方公務員(市役所、区役所、県庁、都庁職員)の退職代行』についてコラムにします。地方公務員の職種は様々ですので、数回に渡って広く浅くコラムにします。5分程度で読める内容にしていますので、最後までお付き合いください。

目次

1.退職の申し出時期について

今回は、相談依頼が多い市役所、区役所、県庁、都庁などの常勤職員の退職代行について説明します。会計年度任用職員(非常勤職員)の退職代行については、コラム第29回で説明していますので参考にしてください。

話を戻しまして、市役所、区役所、県庁、都庁の職員の退職の申し出時期については、各地方自治体で異なります。退職の申し出時期については、各条例や規則で定められていることが一般的ですが、中には、具体的に定められていない地方自治体もあります。仮に、定めがない場合には、退職を申し出たその日を退職日とする「即日退職」も可能です。

退職の申し出は、概ね退職日の10日前から30日前までにする必要があります。そこで、私の退職代行の際には10日前から30日前に退職通知をします。その10日間から30日間は、欠勤にならないように年次休暇を充てます。もし、年次休暇残日数がない場合には、病気休暇を取得するケースもありますので、個別に私まで相談ください。参考までに、常勤職員の各地方自治体の規定は以下の通りとなっています。

(退職)
第14条

職員は、退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日の十日前までに、
退職願を提出しなければならない。
東京都

(退職)
第23条

職員は、退職しようとするときは、原則としてその退職しようとする日の1月前までに所属長を経て人事課長に退職願を提出し、
市長の承認を受けなければならない。
さいたま市

(退職の手続)
第20条

職員が退職しようとするときは、退職願により、所属長を経て秘書人事課長に提出し、市長の許可を受けなければならない。

(退職の手続)
第34条

職員が退職しようとするときは、所属長を経て、市長に退職願(様式第23号)を提出するものとする。

2.賞与(ボーナス)時期について

退職代行の依頼としては、例年、賞与(ボーナス)の関係もあり、6月、12月が多くなります。各地方自治体は、6月1日、12月1日に在籍している常勤職員に対して、ボーナスを支給しますので、退職時期についてお悩みでしたら事前に遠慮なくご相談ください。

3.育児休業中の方の退職代行について

育児休業中の方からの退職相談を受けることも多くあります。地方公務員の育児休業等に関する法律第1条によれば「職員」の「継続的な勤務を促進」することを目的としておりますので、退職を申し出た日以降については「継続的な勤務」の辞退をしたと言えるため、退職を申し出た(退職代行)その日以降は「育児休業手当金」は「支給」されません。

したがって、育児休暇を取得中の市役所、区役所、県庁、都庁職員の方については、退職代行の時期も重要になりますので「事前」に私までご相談ください。

4.退職代行の方法について

退職手続きから辞令交付まで、全て郵送で行なっていますので、弁護士に依頼した場合には、一度も職場に出勤することなく、また、電話でのやりとりもなく、退職手続きができますので、例え、嫌いな上司にも一度も会わずに、また、電話で話すこともなく、退職できます。

引き継ぎについても出勤や電話でのやりとりはせず「必要があれば」引き継ぎ事項を書面化して、弁護士を通じて行いますので、引き継ぎにあたっても職場とのやり取りは一切不要となります。当然ながら、地方公務員は退職することで損害賠償請求をされることもありません。

5.まとめ

現在、地方公務員(市役所、区役所、県庁、都庁等)の方からの退職理由で多いのは、上司からのパワハラや職場内のいじめになります。その際、パワハラやいじめについて、職場に訴えても今の部署から他の部署に配置転換などが行われず、辛い現状が改善されないという相談を受けます。多くの方がパワハラやいじめに悩んでいるという現状についてもっと広く知ってもらいたいと思っています。

次に多い退職理由は、担当業務量が多く精神的に限界という理由があります。このケースも職場に現状を訴えても今の部署から他の部署に配置転換されることもほとんどありません。建築関係の担当や生活保護の担当や介護や国民健康保健業務を担当している方は、業務量が多くパンクしているケースも多く、もっと世の中の方に地方公務員の現状について広く知ってもらうべきだと私は考えています。 弁護士による退職代行サービスは、一度も職場とやりとりする必要がありませんので、お悩みの際には、私までご相談ください。力になります。

参考コラム

地方公務員(市役所職員・区役所職員・県庁職員・都庁職員)の退職代行については、第6回のコラムを読んでください。地方公務員(市役所職員・区役所職員・県庁職員・都庁職員)の退職代行について、より理解がすすむと思います。

参考条文

地方公務員の育児休業等に関する法律
(目的)
第1条

この法律は、育児休業等に関する制度を設けて子を養育する職員の継続的な勤務を促進し、もって職員の福祉を増進するとともに、
地方公共団体の行政の円滑な運営に資することを目的とする。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。