弁護士コラム

第40回

『地方公務員(消防職員)の退職代行』について

公開日:2024年11月11日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第40回は『地方公務員(消防職員)の退職代行』についてコラムにします。5分程度で読めますので、お付き合いください。

目次

1.総論

消防職員という名称は、消防本部や消防署に常勤する地方公務員(消防士採用試験に合格した人)のことを指します。
現場に出動する消防吏員はもちろんのこと、デスクワークがメインとなるすべての職員を含んだ名称となります。

また、一般的に消防士とは、消防吏員の階級を指し、消防吏員の階級は以下の通りとなります。
なお、消防吏員とは場に出て消防活動を行う消防士の正式名称となります。

消防吏員階級

①消防総監
②消防司監
③消防正監
④消防監
⑤消防司令長
⑥消防司令
⑦消防司令補
⑧消防士長
⑨消防副士長
⑩消防士

消防職員の退職理由としては職場内のいじめやパワハラ、中にはフードハラスメントであったりします。

また、職場の人間関係に馴染めない場合もあります。
そのような理由で、退職代行を私の方に依頼してくるケースも多いです。

2.退職の申し出時期について

消防職員の退職の申し出時期については、各地方自治体の条例や規則で定められています。したがって、条例や規則など「事前」に退職の申し出をする時期が定められている場合には、その定めに従って退職通知することになりますが、仮に、具体的な定めがない場合には退職通知したその日を退職日とする即日退職にすることも可能です。

参考までに、ある地方自治体には、以下のように定めがあります。

(退職の願出)
第11条

消防職員が退職しようとする場合は、10日以前に消防長に願い出なければならない。

この規定によれば、やむを得ない理由がない限り、10日前に退職通知することになります。10日については、土日祝の公休日も含まれます。仮に10日前に申告の規定があった場合でも、消防職員の方の年次休暇付与については、毎年4月1日に40日程度付与されるため、退職代行時には20日程度、年次休暇が残っているケースがほとんどです。

したがって、私が行う退職代行では、年次休暇消化をしつつ、指定の日を退職日にもっていきます。年次休暇消化をすることで、退職通知した日から一度も出勤しないで、または、職場に顔を出すこともなく退職にもっていけます。一般的に地方公務員の中では、市役所、区役所、県庁、都庁等の職員と同じように消防職員の方も退職がし易い職種と言えます。

3.防火着や活動服が自宅にあるケースについて

もっとも「ご自宅」に災害で着用する防火着や活動服がある場合には防火着等の返却方法について交渉することが多いですし、返却方法について「揉める」ことも多いです。したがって、消防職員の方で退職代行を検討している場合には「事前」に貸与品の詳細な情報を教えて頂けると幸いでございます。最適なアドバイスをさせて頂きます。

4.賞与時期(ボーナス)について

毎年12月1日、6月1日に在籍している消防職員に対してはボーナス(賞与)が支給されます。
したがって、この時期に退職を申し出る職員の方が多いです。

12月1日、6月1日に在籍していれば、仮に支給日に退職していた場合でもボーナス(賞与)が支給されますので、民間企業の方とは異なります。賞与との兼ね合いで退職に迷っている消防職員の方は、遠慮なく私までご相談ください。

5.処分待ちのケースについて

最後になりますが、消防職員が懲戒処分待ちとなった場合には、処分が出るまでは退職することができません。「任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき」にあたり、退職が承認されないためです。もっとも、弁護士の退職代行では懲戒処分を早めに出してもらう交渉をすることでいち早く退職にもっていくこともできます。

6.まとめ

一度も職場に顔を出すことなく、また、職場とは話をしたくない消防職員の方がいましたら、弁護士の退職代行を検討してください。
また、遠慮なく私までご相談ください。力になります。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。