弁護士コラム
第41回
『自衛隊看護師のための自衛隊病院の退職代行』について
公開日:2024年11月13日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第41回は『自衛隊看護師のための自衛隊病院の退職代行』について書きたいと思います。
目次
1.自衛隊病院について
自衛隊病院とは、防衛省が設置・運営する陸・海・空自衛隊の共同機関であり、自衛隊中央病院や陸海空幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院の総称。共同機関以外に防衛省が設置する病院として「防衛医科大学校病院」があります。
私が行う退職代行では、自衛隊病院でお勤めの全ての階級の自衛官の方が対応可能です。遠慮なく私までご相談ください。
①自衛隊中央病院
東京都世田谷区池尻、目黒区東山にまたがる防衛省三宿地区内に所在する三自衛隊の共同機関としての病院
②自衛隊地方病院
② ー 1 陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊札幌病院 真駒内駐屯地
自衛隊仙台病院 仙台駐屯地
自衛隊富士病院 富士駐屯地
自衛隊阪神病院 川西駐屯地
自衛隊福岡病院 春日駐屯地
自衛隊那覇病院 南那覇駐屯地
② ー 2 海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊横須賀病院 横須賀基地
自衛隊呉病院 呉基地
② ー 3 航空幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊入間病院 入間基地
2.自衛隊看護師の退職代行について
今回は自衛隊病院に勤務する自衛官看護師と技官看護師の「退職」に焦点をあてます。自衛隊看護師は、自衛官看護師と技官看護師からなりますので、①自衛官看護師、②技官看護師の順番で解説します。
①まず、自衛官看護師は「自衛官」の身分があり、自衛隊法第40条が適用されますので、退職にあたっては、隊員の退職について権限を有する者から退職の承認を貰わなければなりません。その場合には、退職希望日の 「30 日前」までに、 順序を経て陸上幕僚長に1部「上申」するものとなっておりますので、準備期間も合わせると最低でも45日程度は退職までに必要となります。もっとも、交渉によって、45日前よりも前に退職日を設定することが可能です。私が今まで行った自衛官看護師の方の退職代行は、年次休暇を消化した「翌日」を退職日にするケースがほとんどでした。
したがって、精神的に出勤することが難しい場合には、一度も出勤せずに退職にもっていけますので、遠慮なくご相談ください。
参考規則
陸上自衛官人事業務規則第28条(退職)
第 28 条
退職(定年及び任期満了による退職を除き、応募認定退職を含む。) を希望する者は、退職願(別紙第 20)を作成し、幹部並びに陸上幕僚長を任免権者とする准陸尉、陸曹及び陸士については、退職希望日の 30 日前までに、 順序を経て「陸上幕僚長」に1部上申するものとする。
②次に、技官看護師は自衛官ではなく、特別職の国家公務員にあたり、国家公務員法第77条、人事院規則8-12 第51条が適用されますので、退職については特に支障のない限りこれを承認するものとされています。法律上は、自衛官看護師よりも技官看護師の方が原則退職できるとなっていることから、退職し易いように見えますが、自衛官看護師と技官看護師の両者の「退職」の取り扱いには実務上、違いはありません。
もっとも、厳密に言えば、技官看護師の方は規定上「特に支障のない限り」、「退職」を『承認』することとなっていますので、法律条文上では退職通知したその日を退職日とする「即日退職」も可能になります。多くのケースでは、技官看護師の方は年次休暇が残っているケースがほとんどですので、技官看護師の退職についても、年次休暇消化をしていき、全年次休暇消化をもって退職とするケースがほとんどです。精神的に出勤することが難しい場合には、一度も出勤せずに退職にもっていけますので、遠慮なくご相談ください。
参考条文
国家公務員法第77条(離職)
職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。
人事院規則8-12(職員の任免)
第51条
任命権は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
3.まとめ
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。