弁護士コラム

第54回

『弁護士による自衛官(自衛隊員)の病気休暇取得と退職代行』について

公開日:2024年12月13日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第54回は『弁護士による自衛官(自衛隊員)の病気休暇取得と退職代行』について書きたいと思います。

自衛隊に所属している方で、在職中に病気休暇を取りたいと考えている方には、興味のある内容になります。

10分程度で読める内容となっております。最後までご拝読頂けると幸いでございます。

目次

では、早速内容に入ります。

1.病気休暇について

公務員の方は、私傷病の際には、90日間の病気休暇を取ることができます。自衛官(自衛隊員)の方も公務員となりますので、90日の病気休暇を取ることができます。病気休暇をとるにあたって診断書が事前に必要となります。診断書の取得時期については、私にご相談いただければ代休及び年次休暇消化を含めてアドバイスもできます。

話を戻しまして、90日の病気休暇中は、給料が支給されます。
その給料は、ほぼ100%保障されますので、安心して、休暇に入れると思います。

2.退職代行でも病気休暇は取得できます

本来であれば、病気休暇については復職を前提とした制度のため、退職の意思を伝えた場合には、病気休暇を取得することはできませんが、自衛官(自衛隊員)の方が退職される場合には、そもそも退職まで時間がかかるため、場合によっては、退職代行時に病気休暇取得をしてそのまま退職にもって行くことができます。病気休暇が取得できるか心配な方は、事前に私までご相談ください。体調不良等により、勤務をすることが難しい場合には、病気休暇取得をしつつ、そのまま退職代行をすることをおすすめします。

自衛官の方で、退職にお困りの場合には、弁護士(私)に依頼されることで、スムーズに退職できますので、詳しく知りたい自衛官(自衛隊員)の方は、私までご相談ください。力になります。また、退職を前提としない場合でも、病気休暇を代理で手続きすることもできます。検討中の方はぜひお声がけください。

・参考コラム

第51回『弁護士による自衛官(自衛隊員)のための病気休暇取得代行サービス及び休職代行サービス』について

を、読んでいただきましたら、病気休暇取得代行サービスについての理解が進むと思います。 ご参考にしてください。

3.営内(基地内)にお住まいの自衛官(自衛隊員)では、病気休暇中は外出できます

補足になりますが、営内(基地内)にお住まいの方が病気休暇に入った際には外出できますので、営外(基地外)で病気休暇に入ることができます。なお、部隊によっては、自衛隊病院で診断を受けた場合にしか、病気休暇制度を使うことが許されないと説明をしていますが、診断書が出るのであればどこの医療機関で診断を受けても制度上、問題はありません。

4.年次休暇が少なく欠勤が発生する際にも病気休暇が利用できます

自衛官(自衛隊員)の方の年次休暇は、毎月4月に20日間が付与されます。その後、毎月2日が年次休暇として付与されます。ところが長期休暇中や何かの事情で年次休暇を使ってしまった場合には、退職まで年次休暇を消化しただけでは、退職承認日までに欠勤が生じることとなります。勤務するにあたって体調が問題ない場合には、退職まで勤務を続ければ良いため、年次休暇がない場合でも、問題がありません。

しかしながら、体調不良で出勤できない場合には、欠勤が生じ、その欠勤が正当な欠勤ではない場合には、懲戒処分の対象となり、長期間の間、退職ができなくなります。その際、体調不良であれば、制度上認められているので、病気休暇を取得することをおすすめします。

病気休暇は、部隊内の承認で済みますので、比較的、取得しやすい制度です。ぜひ体調を崩して退職代行を依頼する際には、病気休暇を使うことも検討してください。

5.まとめ

自衛官(自衛隊員)の方が退職するにあたっては、自衛隊法第40条で、退職について、「承認」されない限り、退職できません。自衛隊規則上、少なくとも上申してから、30日間は、退職までに時間がかかります。

自衛官(自衛隊員)の方は、体調不良の際にも、なかなか退職することはできないことから、欠勤が発生することがあります。
その際、欠勤にするのではなく、病気休暇制度を使いスムーズに退職してください。


比較的、病気休暇は取得しやすので、病気休暇が取りたい自衛官(自衛隊員)の方は私までご相談ください。力になります。

・参考規則

陸上自衛官人事業務規則
第28条

退職(定年及び任期満了による退職を除き、応募認定退職を含む。) を希望する者は、退職願(別紙第 20)を作成し、幹部並びに陸上幕僚長を任免権者とする准陸尉、陸曹及び陸士については、退職希望日の30日前までに、 順序を経て「陸上幕僚長」に1部上申するものとする。

・参考条文

自衛隊法
(退職の承認)
第40条

第31条第1項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の「任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき」は、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。

・参考コラム

第11回『自衛官の退職代行及び脱柵』について

第14回『自衛官の退職代行【階級2曹】』について

第20回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行』について

第21回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行その2』について

第26回『自衛官(陸士長、1等陸士、2等陸士)の退職代行【自衛隊編】』について

第33回『自衛官(自衛隊員)の退職代行【階級3曹】』について

第39回『幹部自衛官の退職代行』について

を、読んでいただきましたら、自衛官の退職代行について理解が進むと思います。お時間がございましたら、ご拝読ください。

・関連ホームページ

自衛官の退職代行

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。