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弁護士コラム
第55回
『弁護士による準公務員(みなし公務員)の退職代行』について
公開日:2024年12月16日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第55回は『弁護士による準公務員(みなし公務員)の退職代行』について書きたいと思います。
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目次
1.準公務員(みなし公務員)について
準公務員(みなし公務員)とは、国家公務員、地方公務員ではないものの、公共性の高い仕事から、公務員とみなされる職務に就いている職種をいいます(法令により公務に従事する職員とみなされる者にあたります)。公務員とは異なるのの、働き方が似ている点、守秘義務を負う点などから一部刑法の適用があります。
・秘密の保持義務(守秘義務)
・贈収賄罪
・公務員職権濫用罪
・公務執行妨害罪
等が適用されます。
また、みなし公務員となる一例は
・日本年金機構の役員及び職員の地位
(日本年金機構法第20条)
・独立行政法人国立病院機構の各施設に勤務する職員
(独立行政法人国立病院機構法第14条)
・国立大学法人の職員
(国立大学法人法第19条)
・日本銀行の役職員
(日本銀行法第30条)
・日本郵便株式会社の従業員
(郵便法第74条)
等があります。
2.独立行政法人国立病院機構に勤務している方の退職代行の依頼について
私の方では、独立行政法人国立病院機構の各施設に勤務する職員の方からの依頼が多くあります。そこで、今回は、特に独立行政法人国立病院機構の各施設に勤務する職員の中でも看護師や事務職員の方に焦点を絞ってコラムにします。
みなし公務員(準公務員)の看護師や事務職員の方からの1番の相談は有給が希望通り消化できないという内容になります。上長から、やめるなら、今日付けで退職願を書くように言われることも多いようです。
もし有給消化を拒否されるケースがありましたら、遠慮なく私の方までご相談ください。みなし公務員(準公務員)の方であれば残日数の有給消化をした上で退職にもって行くことが可能です。有給が残っていないケースでは、退職代行したその日を即日退職とすることが可能です。
また、退職ではなく、体調不良などの場合には、休職代行サービスにてしばらくお休みするように代理手続きすることもあります。休職代行サービスについては、コラム第24回で詳しく解説しています。お時間がありましたら、ご拝読ください。
・参考コラム
第24回『弁護士による休職代行』について
具体的には、例年6月、12月に賞与(ボーナス)が支給されますので、支給日に在籍していれば満額支給されます。したがって、有給消化しつつ、支給日に在籍していれば、問題なく賞与(ボーナス)は支給されます。
したがって、有給消化が拒否されているケースは、仮に支給日に在籍できないケースがありますので、その際には賞与が支給されないため、必ず賞与支給日を事前にご確認ください。賞与(ボーナス)についても、お困りでしたら、私までお声がけください。力になります。
3.まとめ
今回、準公務員(みなし公務員)の方についてコラムにしましたが、準公務員(みなし公務員)は公務員ではないため、退職については、民法第627条が適用されますので、退職の申し出をしてから14日経過すれば退職ができます。
また、退職代行したその日を退職日とする「即日退職」もできます。有給残日数があるケースでは、例年12月まで消化し、残りを放棄し、12月末日を退職日に指定することも多くあります。
なお、仮に欠勤が発生したとしても、公務員ではないことから、無断欠勤が14日を超えない限りは、懲戒解雇にもなりません。準公務員(みなし公務員)の方で、退職に悩まれましたら、遠慮なく私までご相談ください。力になります。
・関連条文
民法第627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
・関連コラム
第35回『即日退職と退職代行』について
・関連ホームページ
公務員の退職代行
国家公務員・地方公務員の退職代行
自衛官の退職代行
・参考コラム
第37回『地方公務員(市役所、区役所、県庁、都庁職員)の退職代行
第38回『地方公務員(県立病院、市立病院勤務の看護師、事務職員)の退職代行』について
第40回『地方公務員(消防職員)の退職代行』について
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
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弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。