弁護士コラム
第70回
『懲戒対応と退職代行』について
公開日:2025年1月20日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをメッセージと共にコラムにします。
コラム第70回は『懲戒対応と退職代行』についてコラムにします。
5分程度で読める内容になっています。このコラムが2025年9回目のコラムになります。
2025年も弁護士法人川越みずほ法律会計をお願いします。
目次
1.懲戒対応について
例えば、①業務中にレジ金を取ってしまった、または、その疑いをかけられているケースや、②職場の商品を取ってしまった、または、その疑いがあるケース、③部下に対してパワハラをしてしまった場合や、その疑いがあるケース、④その他会社から何らかの疑いをかけられているケースがあり、これらは懲戒処分になる場合があります。
その際、会社から懲戒原因についてヒアリングが行われたり、懲戒委員会の弁明の機会時に、会社に出社(対応)する必要があります。退職者としては、いち早く退職し、会社と縁を切りたいにもかかわらず、懲戒に対して自身で退職対応しないとならないケースがあります。その際、精神的にも限界であったり、法的にどのように対応するのがベストであるかなど迷う場面も多くあります。
そのような要望にお応えして私が作ったプランが懲戒対応プランになります。
懲戒対応プランは、退職代行の基本プランに25,000円を追加となります。
正社員、契約社員、派遣社員で47,000円
パート、アルバイトは、37,000円
となります。
まず、上記のような①②③④のケースでは、退職者自身が懲戒対応しなくとも、法律的には、懲戒対応と退職には影響はなく、退職できます。しかしながら、対応しないことで、会社が退職を妨害したり、あえて退職を遅らせることもあります。
そこで、弁護士である私の方が、懲戒と退職が法律的に別問題であることを会社に明確に話をし、スムーズに退職にもっていくようにします。懲戒対応が必要であるケースで、退職代行のご要望がありましたら、遠慮なく私までご相談ください。力になります。
2.内容証明郵便について
3.退職日について
また、懲戒処分を行うにあたっては、会社は退職者に対して、弁明の機会を付与する手続が必要になります。その上で、懲戒原因によっては、懲戒解雇される場合もありますので、懲戒解雇を避け、自己都合退職にもって行くために、退職日は退職通知した日から14日経過後にすることをおすすめしています(民法第627条第1項)。なお、私が懲戒対応する場合には、弁明については書面で行うことが多いです。
ここまでをまとめますと、会社は、14日以内に、弁明の機会の付与→懲戒解雇までの期間と、退職通知してから退職するまでの期間でどちらが早いかが問題となります。しかしながら、14日以内に懲戒解雇するのは手続き的に難しいため、時間的に自己都合退職になるケースがほとんどです。
4.退職金について
もっとも、自己都合退職になった場合でも、退職金支給について、厳密に言えば別の話になります。
仮に、14日経過後が退職日となり、自己都合退職となった場合でも、退職金支給日までに懲戒解雇事由が確定した場合には、退職金が不支給、または、減額される場合もありますので注意が必要です。
5.まとめ
懲戒対応が必要なケースは、いくつかのパターンがあります。
懲戒処分の種類は、戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇などがあり、懲戒原因がそもそもあるのか、あるとしても、戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇のどれにあたるかは大きく問題となります。
ただ、少なくとも、最悪の懲戒解雇を想定して、退職代行の際には14日経過後を退職日に設定して、いち早く退職手続きを進めることをおすすめします。迷った際には遠慮なくご相談ください。力になります。
・参考条文
民法627条
第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。