弁護士コラム

第73回

『自衛官のための懲戒処分待ち→停職処分→退職代行』について

公開日:2025年1月27日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

自衛隊の退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第73回は『自衛官のための懲戒処分待ち→停職処分→退職代行』についてコラムにします。

10分程度で読める内容になっています。このコラムが2025年12回目のコラムになります。

2025年も弁護士法人川越みずほ法律会計をお願いします。

目次

1.処分待ちから停職処分の流れ

自衛官の退職代行はここ数年でとても増えております。民間企業にお勤めの方の退職代行については、退職代行会社が増えていますので、退職代行会社が対応している場合もありますが、自衛官の退職代行となると弁護士しか対応できません。

一部、労働組合系の退職代行会社が自衛官の退職を扱っているとお聞きしていますが、組合加入は、自衛隊第64条で禁止されている懲戒処分に該当する退職代行
ですので、必ず弁護士に依頼してください。お困りでしたら、遠慮なく私までご相談ください。

今回は、自衛官の懲戒処分待ちのコラム第3弾になります。最近、懲戒処分のうち、停職処分の際のポイントを教えて欲しいというご質問が多くありましたので、今回コラムにて、簡単に説明していきます。

懲戒処分を受けるまでには、かなりの時間がかかります。懲戒事由(原因)にもよりますが、処分が出るまでは、早くて6ヶ月で、2年から3年かかる場合もあります。その際、仮に、嫌疑なしで、処分しないとなった場合でも、長い時間がかかり、処分を待っている間は、自衛隊法第40条の『退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき』にあたり、処分が出るまでは、依願退職が承認されることはありません。

一部のネット上の情報で、懲戒処分待ちの場合でも、依願退職は受理される旨の記載がありますが、自衛隊法上、懲戒処分が出るまでは、依願退職が受理されることはありませんので、ご注意ください。

話を戻しまして、そこで、私が退職代行時に、処分を早めるように交渉した上で、処分宣告→処分→退職の流れを最大限早めるように交渉します。

ここで、停職処分については、
懲戒処分等の基準に関する達
(昭和53年7月7日 陸上自衛隊達第24- 4 号)によれば、

重処分 免職、降任、6日以上の停職又は減給合算額が給月額の3分の1を超える減給をいう。
軽処分 5日以内の停職、減給合算額が給月額の3分の1を超えない減給又は戒告をいう。
となります。

私が扱った停職処分については、停職3日と比較的短い期間から停職が数ヶ月にも及ぶものと期間が様々ですが、一般的には、処分宣告→退職の流れになっており、停職処分の宣告→停職期間は、処分宣告から数日後からになるので、事前に退職代行しつつ、退職日も合わせて事前に調整していきます。すなわち、処分宣告から次の日を退職日にするように事前に交渉し、退職日の調整をします。

したがって、退職代行の流れについては、処分待ちの期間を短くするための交渉及び退職日の調整になります。

2.まとめ

停職処分については、無給期間となりますので、生活に支障が生じてしまいますので、停職処分を受ける場合には、退職の意向があれば、停職処分前に退職にもっていくことが可能です。

もっとも、停職期間中であっても、傷病手当金申請をすることも理論的には可能ですので、お困りでしたら、私までご相談ください。

・参考条文

自衛隊法
第40条

隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。

第64条

隊員は、勤務条件等に関し使用者たる国の利益を代表する者と交渉するための組合その他の団体を結成し、又はこれに加入してはならない。

・関連コラム

第20回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行』について

第21回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行』その2について

・参考通達

懲戒処分等の基準に関する達

(昭和53年7月7日 陸上自衛隊達第24ー4号)はこちらをご参照ください。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。