弁護士コラム

第79回

『労働組合が行う退職代行が
違法である理由』について

公開日:2025年2月12日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

自衛隊の退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第79回は『労働組合が行う退職代行が違法である理由』についてコラムにします。

目次

1.労働組合が行う退職代行が違法である理由について

退職代行を行うのは、①弁護士が行うケース、②労働組合が行うケース、③退職代行会社が行うケースがあります。

自衛官の退職について言うならば、③退職代行会社が行うことはできません。退職を伝えて終わることはなく、部隊側との細かい調整や交渉が必要になるためです。③退職代行会社は、全く役に立ちません。

次に、②労働組合が退職代行を行うケースがあるようですが、自衛官の方が、組合加入すること自体が自衛隊法第64条に反し、②労働組合に退職代行を依頼することで、服務規律違反にあたり、懲戒処分の対象になる可能性があります。

今までのケースでは、2社ほど、自衛官の退職代行をしている労働組合を確認していますので、今後、目に余るようであれば、その労働組合に対して、退職代行を行ったことに対する違法性を訴訟提起することも検討しています。その2社については、このコラムで早急にホームページから自衛官の退職代行の依頼のページを削除するように求めます。

依頼した方が当初の説明とは予想しない自体になった場合でも、ご自身で対応するように仲介するだけで、大変な思いをしています。弁護士が行う退職代行でも一筋縄ではいかないのが自衛官の退職代行になります。

まず加入すること自体が自衛隊法違反になるような危険な依頼を私は見過ごす訳にはいかないと思い、このコラムを書いています。こちらのコラムを見た自衛官の方は、間違っても、労働組合が行う退職代行に依頼しないようにしてください。自衛隊法第64条に違反しています。

・参考条文

第64条

隊員は、勤務条件等に関し使用者たる国の利益を代表する者と交渉するための組合その他の団体を結成し、又はこれに加入してはならない。

今までのご依頼者の多くは、自衛官の方が組合活動を行うこと自体が法律違反であることを知っていますので、労働組合系の退職代行会社とやりとりをしていく中で、おかしいなと思うようです。労働組合系の退職代行会社とやりとりしていて少しでもおかしいなと思ったら、私までご相談ください。

特に、自衛官の方の退職については、労働組合系の退職代行会社が行う退職代行は、役に立たないばかりか、知らないうちに自衛隊法第64条に違反しています。ご注意下さい。

2.自衛官の退職代行のパターンについて

私の他のコラムでもご説明しておりますが、自衛官の退職代行にあたっては、まず❶幹部自衛官にあたるか、❷幹部自衛官以外の自衛官にあたるか、❸営内、基地内にお住まいか、❹営内、基地外にお住まいか、❺懲戒処分待ちの状態か、のどれにあたるかによって、弁護士の退職代行のパターンは異なります。

❶幹部自衛官の方は、退職まで土日祝日を含めて60日必要ですが、ご希望があれば、土日祝日を含めて45日程度でも退職にもっていっています。

❷幹部自衛官以外の自衛官のうち、曹の方については、土日祝日を含めて45日程度で退職にもっていっておりますが、交渉で、それより早く例えば土日祝日を含めて30日程度で退職にもっていっています。士の方は、土日祝日を含めて30日程度で、早ければ土日祝日を含めて2週間程度で、退職にもっていっています。

❸❹のうち、営内、基地内にお住まいの場合には、外出許可中に退職代行して、帰隊しない交渉もしています。また、他にも勤務しながらでも、退職代行をするケースもあり、退職日までは、勤務を続けることもあります。教育期間中で、他の部隊に行っている際に、元の部隊と交渉するケースもあります。

❺懲戒処分待ちの場合には、退職の交渉と言うよりも、処分宣告をいち早く行ってもらうようための交渉に重点を置いています。自衛官の退職代行のパターンや諸問題は数多くありますので、私まで悩む前にご相談頂けると幸いでございます。力になります。

・参考コラム

第67回『自衛隊(自衛官)を辞められない皆様へ』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。