
弁護士コラム
第84回
『傷病手当金申請と退職代行』について
公開日:2025年2月28日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第84回は『傷病手当金申請と退職代行』についてコラムにします。

目次
1.傷病手当金申請サポートについて
退職代行とセットで傷病手当金申請のサポートの依頼を受けることは多いです。
傷病手当金とは、健康保険から支給される給付金であって、支給額としては、標準報酬日額の2/3 × 暦日(労務不能期間)で計算されます。標準報酬日額は、標準報酬月額 ÷ 30日で計算され、標準報酬月額は、社会保険取得時の取得金額(毎年、4月、5月、6月の定時決定、または、2等級の変動があった際の随時改定)で定まります。
ここまでを簡単にまとめますと、給料の総支給額が30万円の場合には、30万円 × 2/3で計算すれば月額に支給される傷病手当金が計算できます。
また、傷病手当金は、退職後にも引き続き申請するケースが多いです。健康保険取得時から連続して1年あれば、退職後も申請可能となります。仮に、退職する会社で連続して1年間の取得期間がない場合でも、前の会社と退職する会社との間に1日も空白期間がない場合でも例外的に、退職後の申請が可能となります。
退職代行の際に一番注意する点としては、退職日までに待機期間を連続4日以上空ける点になります。仮に、退職代行した日が3月1日の場合には、3月1日を退職日とする即日退職にしてはいけません。必ず3月1日から3月4日までは待機期間としてあける必要があるため、退職日を3月4日以降にする必要があります。
私が退職代行する際には、民法第627条第1項により退職の申し出をしてから14日を空けるようにしています。特に退職後も引き続き傷病手当金を申請する場合には、即日退職にしないようにしてください。退職代行会社で即日退職として退職処理をした後で、私の方に傷病手当金申請をお願いしたいというご相談を受けますが、後から対応するのはとても大変です。
ここまでのポイントをまとめますと、退職後も傷病手当金申請を申請をされる場合には即日退職にしないようにしてください。
2.まとめ
傷病手当金申請については退職代行の際に、会社側が協力しないケースが稀にあります。現在のところ、残念ながら傷病手当金申請の協力を会社がしない場合には、協力させる方法が限られてしまいます。
そこで、事前にヒアリングして、時間がかかるケースや支給が難しいケースについては、傷病手当金申請サポートをお受けできないケースがあります。退職代行とセットで傷病手当金申請サポートの依頼を検討している場合には、事前に遠慮なく私までお声がけください。力になります。
・関連条文
民法第627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。