弁護士コラム

第85回

『休職期間中の退職代行』について

公開日:2025年2月28日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第85回は『休職期間中の退職代行』についてコラムにします。

目次

1.休職期間中の退職代行について

最近では、休職期間中の退職代行の依頼が増えています。休職期間中の退職代行は、一時期は、特定の業種の方からの依頼が多かったのですが、最近では、様々な業種の方から依頼がありますので、これといった特定の職種に限られいないのが最近の特徴です。また、休職理由としては、適応障害や抑うつ状態やうつ病といった理由が多いです。

会社の制度上、休職期間が3ヶ月という短期間での復職が要求されるケースもあり、休職期間中明けの際には、人事担当者や上司と復職の面談をするケースも多くあります。中には、適応障害やうつ病になった原因である上司と面談する苦痛について多くの相談を受けます。

実は、休職期間中の退職代行の依頼の主たる理由は、適応障害などの原因となった上司との面談を避けるためにあります。会社の体制はなかなか変えることはできませんが、休職者が多い職場については人事担当者としては、人間関係に着目することで退職代行を減らせることができるかもしれません。人事担当者の方は、一度、ご検討ください。

さて、話を戻しまて、休職期間中に会社に戻りたくない場合には、弁護士の退職代行を検討してください。職場とのやりとりが一切不要な退職が可能となりますので、精神的なストレスの軽減のお手伝いができると考えています。

2.休職期間中と有給消化について

次に休職期間中の退職代行にあたっては、有給消化が可能かどうかのご質問をいただきます。実は、有給消化の前提として、労務が提供できる状態である必要があります。したがって、復職できる状態でなければ有給休暇の行使をする前提条件が欠けますので、当然のように有給消化できるとは限りません。

休職期間中明けの有給消化の行使にあたっては、職場との交渉が必要となります。その際、残念ながら消化ができないケースもあるものの私が退職代行するにあたっては、最大限交渉をして、依頼者の利益になるようにしたいと考えております。お悩みでしたら、遠慮なく私までご相談ください。

3.まとめ

退職代行をはじめた当初から私の方では、休職代行を行っています。休職したものの最終的には、復職できないケースもありますので、その際、休職期間中の退職代行をする場合もあります。

また、休職期間中明けの退職をした場合に、損害賠償の請求を気にされる方もいらっしゃいますが、医師から労務不能の診断を受けている場合には、出勤を強制すること自体、会社には安全配慮義務違反が成立します。

したがって、退職者に損害賠償が成立するケースは少ないと考えます。休職期間中の退職代行にあたって、損害賠償が心配な場合には、事前に遠慮なく私までご相談ください。力になります。

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弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。