弁護士コラム
第44回
『退職代行における弁護士人気おすすめランキング』について
公開日:2024年11月20日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第44回は『退職代行における弁護士人気おすすめランキング』についてコラムにします。
5分程度で読める内容になっています。
目次
1.退職代行における弁護士の人気やおすすめの意味について
最近では、退職代行という言葉を知らない人はいないと言うぐらい「退職代行」はメディアを通じて世間から認知されています。過去、私が退職代行について海外から取材を受けた際、その海外メディアは「気が弱い」日本人というキーワードを出して取材を受けるように誘導していたので、記事の掲載についてはお断りを入れました。
私としては、転職エージェント業務と言えば、別に日本独自のものでもないと思います。要するに、そこには少なくともメディアの台本があります。取材を受けるとわかりますが、メディアはある一定の見解を前提に取材を受けるようにお願いしてきます。その見解に乗るか、断るかは、取材を受ける弁護士の価値観一つです。
したがって、ここまでをまとめますと、まず「人気」があるかないかはメディアが作った台本があり、それに従って「人気」や「おすすめ」が作られています。別に人気投票を集計して作った「人気」ではありません。何らかの都合がそこには含まれています。「人気」「おすすめ」があるから、ここは心配ないというのは何らかの都合によります。
2.退職代行における弁護士のランキングについて
法律上、雇用期間の定めのない正社員であれば、民法627条第1項により、退職の意思を伝えてから14日経過後が退職日になります。また、雇用期間の定めのある契約社員であれば、民法628条第1項により「やむを得ない理由」があれば、退職の意思を伝えた日が退職日になります。すなわち、法律を前提とすれば、退職代行サービスは退職の意思を伝えれば良いので、どの弁護士がやっても結果に差は生じません。
したがって、退職代行を依頼するにあたっては、弁護士事務所であれば良いので、事実上、弁護士にはランキングは生じません。弁護士の先生に依頼するのであれば、どの弁護士に退職代行を依頼しても心配はないと言えます。
最近では、退職代行の認知が高まるにつれて、退職代行を扱う弁護士事務所も増えました。弁護士であれば、誰に依頼しても、どこに依頼しても変わりませんので、迷ったらネット(google、yahoo)検索で『退職代行 弁護士』で調べてみましょう。弁護士法人川越みずほ法律会計の退職代行のホームページも出て来ると思います。ぜひお問い合わせください。
次に、弁護士にランキングが生じないもう一つの理由をあげるとすれば、弁護士の業務広告に関する規程第3条5号の存在があります。
少しだけ解説しますと、現在、特定の弁護士や他の法律事務所等と比較した広告はNG(弁護士の業務広告に関する規程第3条5号)となっています。例えば「●●事務所より豊富なスタッフ」であるとか「当事務所は●●で優れています。」とか「安い弁護士事務所だと心配です。」とか「今まで●●件退職代行しました。」とか「退職代行成功率100%」とか「絶対退職代行成功します。」などの広告をすることやホームページに記載することは禁止されています。
弁護士職務基本規程上、弁護士は他の弁護士の名誉と信義を重んじることとされており(同規程70条)、それを受けての広告規程と思われますが、その背景には、弁護士法2条・弁護士職務基本規程6条に規定される品位保持義務が存在するためです。以上から、弁護士には、品位保持義務が課せられており、その意味でも、弁護士にはランキングは存在しませんので、迷わずどの弁護士に相談しても心配ないと言えます。
もっとも、弁護士資格がなく退職代行サービスを提供している労働組合が運営している退職代行業者(会社)が行う退職代行サービスや単に退職代行業者(会社)が運営している退職代行サービスと、弁護士の退職代行サービスを比べた場合には、弁護士が退職代行しているか、弁護士以外が退職代行しているかなど、大きな違いがあります。
弁護士資格があるという意味は大きな違いです。退職代行業者は「顧問弁護士の監修」を強調していますが、退職代行業者に依頼した場合に監修弁護士が退職代行する訳ではありません。注意が必要です。日本の弁護士は日本弁護士連合会に登録した弁護士であり、登録することでその能力が担保されています。依頼者の圧倒的な安心感が違います。
一方で、退職代行業者は、退職代行を依頼するメリットを退職代行の料金が弁護士より「安い」ことを挙げています。しかしながら、現在、退職代行を行う弁護士事務所は沢山あり、ネット(google、yahoo)検索で『退職代行 弁護士』のキーワードで調べてもらえればすぐにわかりますが、
退職代行業者より「安い」弁護士事務所も増えています。
したがって、最初から弁護士事務所に依頼する退職代行が1番効力的であって、あえて退職代行業者に退職代行を依頼する必要性はどこにもありません。迷った場合には、遠慮なく私までご相談ください。
・関連コラム
第42回 弁護士法人川越みずほ法律会計の退職代行について
第43回 「もう無理だ」と感じたら川越みずほの退職代行がおすすめ
を、読んでいただきましたら、現状の退職代行について理解が進むと思います。お時間ありましたら、ご拝読ください。
・参考条文
民法627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法628条第1項
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
・弁護士の業務広告に関する規程
(禁止される広告)
第3条
弁護士は、次の広告をすることができない。
第3条ー5
特定の弁護士若しくは外国法事務弁護士又は法律事務所若しくは外国法事務弁護士事務所と比較した広告
・弁護士職務基本規程
(名誉の尊重)
第70条
弁護士は他の弁護士(弁護士法人及び外国法事務弁護士以下弁護士等という)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
(名誉と信用)
第6条
弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める。
・弁護士法
(弁護士の職責の根本基準)
第2条
弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。